書店街の変遷

ある版元の営業便りに寄稿する予定だった原稿を下記に再録します。実際に掲載されたのは別に書いた原稿ですが、せっかくなので再録しておきます。私が東京の版元から京都に出張で初めて訪れたのは80年代。その当時は、まだまだ本がよく読まれ売れていた時代でした。

 すでにご存知とは思いますが、本年10月10日をもって、梶井基次郎の小説『檸檬』で有名な京都の丸善河原町店が閉店します(但し後継店を京都市内に出店するとの予定ですから完全撤退ではないらしい?)。同店が現在の河原町通に出店したのが1940年(別の場所での京都支店としては1873年が最初)とのことですから、まさに老舗中の老舗でしたので残念です。
 その昔、この河原町通は日本一を誇る書店街でもありましたが、この10年ほどで一挙に街の書店さんが消えてゆきました。因みにその当時の新刊書店さんを記憶を頼りに列挙してみます。四条河原町通の西側には、大垣書店高島屋店、ふたば書房河原町店、オーム社西河原町店、駸々堂河原町店、京都書院河原町店(Ver99)、サワヤ書房、ミレー書房、平安堂書店(古書併売)、駸々堂京宝店、文祥堂書店、萬時堂書店、ふたば書房三条店、その対向東側には海南堂書店、河原町書房、官房販売所、丸善河原町店、メディアショップ(敬称略)、四条から三条までの700メートル足らずの通りにこれだけの新刊書店が個性を競い合っていたのです。
 これらの内、現存しているのは丸善を含めても、大垣書店高島屋店、平安堂書店、官報販売所、メディアショップ、ふたば書房三条店と、倒産した駸々堂京宝店を引き継いだブックファースト京都店のみとなり、当時の活況が懐かしいかぎりですね。

その後、ブックファースト京都店が入店している京都宝塚ビルも老朽化のために建て替えるとのことで、時期は不明ですが来年には同店も撤退することになります。
ところが、10月にジュンク堂書店丸善河原町店の直近、ブックファースト京都店の斜向かいに新店を出すことになり、業界は驚きました。(続く)