ヒントブックスさんのメルマガより転載。

■「最近、おもしろかった本」
[投稿] 少し長いですが、おつきあいください。
『母よ!殺すな』
横塚晃一著 生活書院 2007年9月/発行 2625円

 復刊されていたのをネットで見つけ、びっくりしました。20年以上?
も前に読んだ記憶があります。
 進学で神戸に出てきた私は、「兵庫青い芝の会」の障害者の人たちと
出会いました。その頃見た映画『さよならCP』(著者の横塚さんが出
ているドキュメンタリー)も、 とても衝撃的でした。内容はほとんど
覚えていませんが。
 世の中、バブルの真っ最中(貧乏学生にはそんな実感は何もありませ
んでしたが)。「ワンレン、ボディコン」の流行にまったくなじめない、
右も左もわからない田舎モノの私は、「お前ら健常者はなぁ・・・」と
ピシパシと己の立つ位置を問うてくる「青い芝」の人たちの言葉に、ア
タフタしながら、悩みながら、自立生活を送る人たちの介護に入ったり、
「バス闘争」の端っこにいたりしていました。
 でも、とてもかわいがってもらいました。今のような制度はなく、毎
日毎日電話しては介護者を自分で見つけるという生活をされていました。
今思うと、生活感のない学生たちと付き合うのは大変だっただろうなあ、
と思います。 「育ててもらった」と感じているのは私だけではないで
しょう。

 最近、「こんちくしょう」という映画を見ました。当時「兵庫青い芝
の会」で活動されていた福永年久さんが作られた映画で、福永さんたち
の先輩にあたる3人の人たち(60年代に自立生活を始められた)のイ
ンタビューを収めたドキュメンタリーです。
 「さよならCP」に出演していた横田弘さんもその一人です。「自立
生活の先駆者の証言」ということにとどまらない、「今を生きる私」に
ズシンと伝わってくるものがありました。

 さて、本のことですが、『母よ!殺すな』は、当時、先輩の本を借り
て読んだもので、時々思い出しては「読み返したいなあ」と思っていま
した。70年代の出版でしたから、手元に置くことはあきらめていまし
た。が、今回映画を見て、どっか古本で手に入らないかなとネット検索
していたら、なんと新刊で出ているではありませんか! すご〜〜い!
というわけで、ヒントブックスに注文したわけです。

 ちなみに、「こんちくしょう」の上映は、12月に大阪で予定されて
います。12月8日、午後1時半より。場所/リバティ大阪 。
(投稿者: モノクローム/神戸市)



 『母よ!殺すな』には、本多勝一が「はじめに」という文を寄せてい
ます。妹の節子さんがCP(脳性マヒ)で、もう一人の娘さんもCPと診
断され(誤診で脳性マヒではなかった)、お母さんが思い詰め、心中し
ようとして2人の幼い娘さんたちを川へ連れて夜中に家を出て行く。で
も、お母さんは思い直し、死ぬのを止めて家に帰ってくる。タイトルに
ぴったりの文章を寄せています。
 私は節子さんの自分史のような本『脳性マヒ、ただいま一人暮らし3
0年―女性障害者の生きる闘い』(明石書店 2100円)を以前読みました。
 その本のなかにも、当時の「青い芝の会」のことが触れられていまし
た。その先頭に立った横塚氏をとりまく当時の状況なども書かれていま
す。42歳で胃ガンのため死去。
(テルコ)


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日本標準時・東経135度の子午線が通る 明石から
発行: ヒントブックス 発行人: 山田利行
発行日: 金曜日ごとに月3回程度
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