「オリコン訴訟」の新展開


Maxさんのサイトで「民訴権乱用」の法理]が問われているが、これはオリコンIR担当が「J-CASTニュース」にコメントした以下の部分が根拠になっている。

「賠償金が欲しいというのではなく、これ以上の事実誤認の情報が流れないように(多額の賠償金を課すことで)抑制力を発揮させたい」

それとMaxさんのコメント欄で以下の質問があり

民事の係争の解決の手続きについては、示談->調停->提訴、とやはり段階がある訳ですね。この場でコメントすることではないと思いますが、段階を踏まない提訴について裁判所が段階を踏むように諭す、などの方法がないのでしょうか。

それに対して僕は以下のようにコメントしたので、ここでも再録しておく。

民事には国家権力は不介入でなければならないですから、「事前審査」をすることはその権力の介入に当たります。ですから、民訴は形式主義的に受理されます。
それと「民訴権の乱用」については、事後的に法廷で争うしかないわけです。


オリコン広報の「賠償金が欲しいというのではなく、これ以上の事実誤認の情報が流れないように(多額の賠償金を課すことで)抑制力を発揮させたい」というコメントは、「訴状請求趣旨①」に反しているので「権利の乱用」への反証になるというか提訴趣旨に反するので訴状が形式主義的にも成立しないと抗弁出来るのではないでしょうか?
但し「訴状請求趣旨②」の謝罪広告要求自体は訴状としては成立するので有効でしょうね。


ところでオリコンは提訴による同社へのバッシングが増えても信用回復が会社としては生命線ですから、その辺も勘案した上であえて提訴に踏み切ったのは勝訴する確証をもっていると僕は予想したのでしたが、つい先ほど(12/21:13時)オリコンは態度を軟化してきましたよ。
「ライター烏賀陽弘道氏への提訴」について >によれば、

「弊社にとってランキングの信用は最も大切なものです。通常、ネガティブなご意見やご批評でも、基本的にそれを甘受いたします。ただ、「明らかな事実誤認に基づく誹謗中傷」に対しては、価値を守るためにその防衛に立ち上がります。(中略)我々の真意はお金ではありません。個人攻撃でもありません。上記のとおり、烏賀陽氏に「明らかな事実誤認に基づく誹謗中傷」があったことを認めてもらい、その部分についてのみ謝罪をして頂きたいだけです。その際には、提訴をすぐに取り下げます。」

とあります。


これはブログでの批判が威力を発揮したものと思われますが、さあこのコメントを如何に評価するか?
僕は順序として先にオリコンが提訴を取り下げてから、お互いに「話し合い」をすべきだと思います。

ところで一般論として、突然僕らが「名誉毀損」で訴えられた場合にどうすればよいのかという問題は他人事ではない。
因みに、106年前くらい前にnifty掲示板での議論の応酬から「名誉毀損」が提訴された(現在も継続中かもしれないが)。その裁判の経緯は『反論 ネットワークにおける言論の自由と責任』(光芒社)から出版されている。

反論―ネットワークにおける言論の自由と責任

反論―ネットワークにおける言論の自由と責任