「カルチャー・レヴュー」67号
本文は、http://kujronekob.exblog.jp/ にてお読みいただけます。
■目 次■
◆連載「映画館の日々」第13回:それが物真似であることが私たちにわかるのは-----------------鈴木 薫
◆転載「教育基本法改正反対」このバカバカしい時代に立ち会った者として、これまでに至る一連の経緯を注視し、記録し、広く知らせよう-------------t-hirosaka
◆INFORMATION:市民の政策づくり 教育編〜最終検討会/教育基本法改悪反対 危険な安倍内閣をみんなでとりかこむ「ヒューマン・チェーン」(東京・国会)/教育基本法の改悪をとめよう!11・12全国集会/第66回「哲学的腹ぺこ塾」
◆黒猫房主の周辺「デモとか、愛国心とか」------------------黒猫房主
★本誌はメルマガ版ですが、他にバックナンバーとしてWeb版があります。
http://homepage3.nifty.com/luna-sy/review.html
★それぞれの論考ごとにコメントや感想が書き込めますので、よろしくお願いします。
★本誌への投稿も募集しております。
E-mailル:「YIJ00302」を「@nifty.com」の前に付けてください。
★68号は、06.12.01の刊行予定です。
●●●●INFORMATION●●●
★市民の政策づくり 教育編〜最終検討会★
■日時:11月4日14時〜16時30分
■場所:芦屋山村サロン(芦屋舟戸町)
■講演:小田 実
「安倍政権の教育基本法改定策動の中、市民側の政策提起の意義について」
■主催:市民の意見30・関西(TEL:0729-98-1113 北川さん)
http://www.jca.apc.org/~shimin30/home.html
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★教育基本法改悪反対危険な安倍内閣をみんなでとりかこむ「ヒューマン・チェーン」(東京・国会)★
■ヒューマン・チェーン実施日程・場所
11月8日(水)午後4時 衆議院議員面会所 集合
教育基本法「改正」反対市民連絡会
子どもと教科書全国ネット21
子どもの育ちと法制度を考える21世紀市民の会(「子どもと法・21」)
「子どもたちを大切に…今こそ生かそう教育基本法」全国ネットワーク
許すな!憲法改悪・市民連絡会
共謀罪の新設に反対する市民と表現者の集い実行委員会
問い合わせ先
高田(tel:03-3221-4668 fax:03-3221-2558)
東本(tel:090-1859-6656)
http://www.labornetjp.org/labornet/EventItem/00_2006_4Q/1161413128009staff01
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★教育基本法の改悪をとめよう!11・12全国集会★
■日時:2006年11月12日(日)
13時 開場
13時半 開演
15時半 デモパレード出発(銀座へ)
■場所:東京・日比谷野外音楽堂
■参加費:無料(カンパのお願いあり)
■主催:教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会
お問い合せやご意見は、全国連絡会までお願いします。
http://www.kyokiren.net/_action/1112
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★第66回「哲学的腹ぺこ塾」★
http://homepage3.nifty.com/luna-sy/harapeko.html
■日 時:06年11月19日(日)午後2時より4時まで。
■テキスト:ニーチェ『悲劇の誕生』(岩波文庫ほか)
■会 場:るな工房/黒猫房/窓月書房(会員制)
■黒猫房主の周辺■「デモとか、愛国心とか」
★教育基本法「改正」審議は来週には山場を迎えるようだが、「改正」反対への市民の意思表示の在り方として、t-hirosakaさんのブログ記事を転載させていただいた。
★僕はどちらかというと「政治的人間」ではないと思っている。デモは嫌いではないが、そんなに頻繁に行くほど熱心でもない。そもそもどこかの組合員でも市民運動のメンバーでもないので、数合わせで「動員」をかけられるわけでも、もちろんない。参加する場合は、まったくの自主的な個人参加だけだ。
★それでつい最近は、教育基本法改悪反対集会とデモに参加した。これまでは「共謀罪」との関連でこの論議に関心はもっていたが、その集会での野田正彰さんの講演を聞いてからは、いろいろと法案の問題点を自分なりに勉強して、遅まきながらその重要性と緊急性に気づいたという次第だった。その辺のことは僕のブログにも記した。
http://d.hatena.ne.jp/kuronekobousyu/20061025
http://d.hatena.ne.jp/kuronekobousyu/20061031
★ところで、政府の「改正」案に対案として「新法」を出した民主党案に宮台真司が関与していたことを、つい最近知った。そのことは「愛国心と教育」という対談で明らかにされているが、その対談は次のWebサイトで読める。http://www.hideshima.co.jp/newpage32.html
またその対談の宮台発言への(たぶん、僕よりは若い)demianさんの感想と考察も意義深い。http://d.hatena.ne.jp/demian/20061030/p2
★宮台によれば、愛国心の規定は「戦後的なものをシンボライズするものとしてのナショナリズムならば、これを肯定するというふうにプレゼンテーションするためのものであった」そうだが、民主党は見事にそのプレゼンを失敗したので、その結果、政府案よりも民主党案のほうが右寄りだという印象を与えてしまったと説明している。
★そのことは、端的に10/30の国会審議での民主党の野田佳彦議委員の発言にも表れている。同氏は、政府案の「<国と郷土を愛する態度を養う>の態度は形だけなのか」と批判し、戦後教育の総括として「民主党内でも異論があるかもしれないが、自分はしっかりと内面の心の教育に踏み込むべきだ」という趣旨の発言をしている。
★しかし国家が「思想と良心の自由」に踏み込んではならないというのは、まさに宮台の言う「戦後的なもの」の象徴だと思うが、野田議員の発言はそれを否定しているように思われる。そしてこのような発言を生み出す言語空間は、すでに「戦前への回帰」ではなく「新しい戦前」の始まりではないかとも思われるのだが、そのことに対してマスコミを含めて僕らはあまりにも鈍感になっているのではないのか。
★そして現在の国旗掲揚・国歌斉唱の義務化と強制の教育現場を見るにつけ、やむなく「形」だけ従ったとしても、ひとたび「愛国心」が法制化されてしまえば、「自発的服従の臣民」が「内心」はどうなんだ? という査問および評価を教師・子ども・親・私たちにしてくる可能性は極めて高いと危惧されるのだが、それは「左翼」によるフレームアップだと思いなす人たちも一方にはいるようだ。そいう人たちは「左翼言説」への嫌悪からこの危惧を認めようとしない。あるいは「愛国心の強制」を歓迎している。だがそれは「愛国心」の在り方に関わってくる。
★宮台じしんは「愛国心の強制」には反対している。先の対談では「右翼の伝統的な発想から言えば、愛国心を含めて、すべての価値は内発性、つまり、内側から湧き上がってくるものでなければ、ダメで、人を蹴落とすために、あるいは上に上がるために、これを利用した方がいいということの中に、日の丸や君が代、愛国心を、あるいはロイヤリティを示すということがあるんであれば、こんなバカなことはない。むしろ、右翼こそが、あるいは右翼的な感受性を持つ左翼こそが、愛国心の義務化に反対をしてきたという歴史があります」と応じている。また山崎正和のような「開かれた保守」も「愛国心の義務化」には反対している。
★しかし僕はどこかで暮らすにおいて、その国あるいはその郷にしろ、その共同体に格別の愛情を持たなくても他者と共生して(その共生のための義務を履行して)暮らせる社会が、もっとも抑圧の少ない社会だろうと思う。そうは言っても永年暮らしてくると、そこへの「愛着」は生まれるだろう。しかしその共同体を維持するために「格別の愛」という調達は、むしろ過剰ではないだろうか。むしろそれは「われわれ/国民/国境」を制限し、他者を排除することに繋がる。何百年先になるかわからないが、国境は超えられたほうがよいと思っているが、それは「格別の愛/熱い愛」からではなく、淡々と共生のための義務を履行する「冷たい愛」からでよいと思う。
★今号は村田氏の連載は休載です。それで、僕がピンチヒッターでブログの記事を基に、あらたに「カルチャー・レヴュー」用の原稿を書こうと思って、アレコレ思案している内に(けっきょく書けなかったが)、11月01日の発行日を過ぎてしまったという失態。発行日に合わせて入稿していただいた鈴木薫さんには申し訳ありませんでした。発行日の奥付は、いちおう11月01日にしていますが……(笑)。(黒猫房主)