国会審議をモニターする。


http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.cfm のWebサイト(ビデオライブラリー)で昨日の審議も含めてモニターできますよ。
というわけで、帰宅後、本日(31日)の中継をモニターしています。


保坂議委員が昨日に続いて、政府案2条5項の規定がすべての条文にも包括的にかかるのかを質疑。保坂議員のブログから、その部分を引用します。

今日は、「教育の目標」の第2条5項「愛国心条項」が政府提出教育基本法案のすべての条文にかかるのか、それとも「学校教育」を中心としているのか、この点を昨日の安倍総理に続いて、塩崎官房長官に質した。普段は歯切れのいい塩崎氏としては、どうにも煮え切らない答弁だった。「『教育の目標』は条文全体にかかっているが、『家庭教育』や『社会教育』はそれぞれ教育の主体に委ねられている」というもの。よく考えてみれば、「学校教育も教育の主体に委ねられるべきもの」であり、「家庭教育」「社会教育」も並列的な関係なのか? と疑問をぶつけた。この点が曖昧だと、条文第13条の「学校・家庭及び地域住民の相互の連携協力」のところで「企業・NPO児童相談所・警察」などの関係者が相互に連携する目的も「教育の目標2条5項」に掲げられている愛国心条項を目標とすることになり、「お宅では我が国と郷土を愛する心を教えていますか」と家庭内に関係者が干渉するような事態を生まないとは限らない。「立法者の意志として、そうしたことは求めていない」と塩崎官房長官は答弁したが、伊吹文部科学大臣は「それは社会教育や家庭教育の主体が判断してやることで、公的介入はしない。ただ、教育の目標はすべてにかかっているので、その方が判断すればいい」と答弁している。

つまり「隣組」が復活して「愛国心育成運動」を自主的に起こして、政府提案の教育基本法を根拠法として「お宅はどうしてますか」と報告を求めたり、干渉をしたりということが起きていた時に制止できるのは塩崎官房長官答弁の「そういうことまでは求めていないという立法者の意志は議事録に残る」いう言葉に尽きることになる。国旗国歌法の時の野中官房長官答弁「教育現場に強制はしない」という答弁がどんなに無視され、ないがしろにされたかを私たちは知っている。教育基本法だから学校が危ないと思ってきたが、家庭教育・社会教育・生涯学習なども包括する法案であることが今日明らかになった。これは、おおいに警鐘を鳴らしていいはずだ。多分、明日の新聞報道には載らないだろうから、大いに議論を喚起してほしい。これまで、気がつかなかったが政府の教育基本法案には「隣組」復活への道の根拠が仕込まれていたのだ。
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/bcd32aa36bea49b6726c9dcca5e666a2

昨日の保坂議員の質疑に対する阿倍総理の回答は、概略「教育の目標は学校・家庭・地域の連携、生涯教育の観点から捉えれている」というものでした。それでは愛国心条項は、「すべからく国民に対する教育として網をかけているのか」との質問には、代わりに伊吹大臣が「政府案には愛国心条項というものはないのであって、日本の歴史と文化を尊ぶ気持ちを養う事実関係を的確に教えることを目標にしている」との回答でした。
そこで時間切れとなってそれ以上保坂議員は踏み込めず、政府案は極めて危険であると指摘して「改正」の不必要を提起して終わりました。
つまり、阿倍総理も伊吹大臣も「学校外教育」にも影響することを認めたと解釈できます。本日の塩崎官房長官も「教育の目標はすべてにかかっている」と答弁していますので、これでは日常空間までもが、愛国を「育成=涵養する心」で満たされてしまうわけですね。「公的介入はしない」という塩崎官房長官の答弁があっても、第2条5項と第16条の「他の法律」がある限り、解釈法によっては公的介入そして「自発的服従臣民」による私的介入は、いつでも発動できる法案なわけです。


しかしここで注意を喚起しておきます。
愛国心」の育成/涵養については、民主党案のほうが政府案よりもより踏み込んでいるのです。
昨日の野田議員(民主党)は政府案の「<国と郷土を愛する態度を養う>というのは形だけなのか」と批判していますが、これでは「内面」を査問しろと言っているに等しい(野田議員の名誉のために彼が「査問」という発言をしているわけではありません)。言い換えれば、面従腹背も許さない「心の支配」を目指せという、恐るべき事態を惹起する可能性があります。このような発言が許される言語空間は、「戦前への回帰」ではなく「新しい戦前」が始まっているように思えるのですが、そのことに対してマスコミを含めて僕らはあまりにも鈍感ではないのか!
民主党案は、こちら→ http://www.dpj.or.jp/news/files/20060516120838.pdf
民主党案の解説→ http://www.dpj.or.jp/kyouiku/conme001.html
★表現を修正加筆しました((06.11.03)

■追記(06.11.01)
民主党案」の解説Webサイトを上記の本文に追加しました。それによると前文の「日本を愛する心を涵養し」という表現は愛国心を強制する趣旨ではさらさらなく、かつ「国家」ではなく「日本」という伝統・文化等を愛する心の涵養だというように説明されていますが……、国旗掲揚・国歌斉唱強制の教育現場を見るにつけ、やむなく「形」だけ従ったとしても、ひとたび「日本を愛する心」が法制化されてしまえば、強制的にではなく自発的に「内心」はどうなんだ? という強迫・評価を教師・子ども・親・私たちにする可能性は極めて高いと危惧するのですが、これを「希有」だと思いなす方々も一方にはいるようです。


先ほど野田議委員の質疑を聞き直しましたが、民主党内でも異論があるかもしれないが、自分はしっかりと内面を「心の教育」に踏み込むべきだと思うと発言しています。


★警戒警報★

これを許しては、あなたも私も、明日逮捕されます。→ http://d.hatena.ne.jp/noharra/20061030