「カルチャー・レヴュー」58号(2006.2.1)

本文は、こちらです。→http://kujronekob.exblog.jp/
■目 次■
◆連載「マルジナリア」第12回:遍在する私(二)----------------中原紀生
◆連載「メディアななめよみ」第2回:映画の思い出あるいは思い出と映画――『映画がなければ生きていけない』(十河進著)を読みながら思い出したこと----------------------山口秀也
◆INFORMATION:ご恵贈本/ブックフェア「大阪モダン〜博覧会・盛り場の都市文化論」/トークセッション「稲葉振一郎×立岩真也」/六甲奨学基金のための第9回古本市
◆黒猫房主の周辺「<私>とか、映画とか」---------------------黒猫房主


★本誌はメルマガ版ですが、他にバックナンバーとしてWeb版があります。
 http://homepage3.nifty.com/luna-sy/review.html
★それぞれの論考ごとにコメントや感想が書き込めますので、よろしくお願いします。
★本誌への投稿も募集しております。
  E-mailル:「YIJ00302」を「@nifty.com」の前に付けてください。
★59号は、06.03.01の刊行予定です。


●●●●INFORMATION●●●

 ★ご恵贈本★
 『映画がなければ生きていけない』十河進著、デジタルクリエイターズ刊
 『怒りのブドウ球菌』永吉克之著、デジタルクリエイターズ刊

本書籍は7年以上、日刊で発行を続けているクリエイター向けメールマガジン「日刊デジタルクリエイターズ」(発行部数・約18,000部)の連載エッセイを書籍化したものです。本書はよくある「インターネット企画本」とは、一線を画する仕上がりとなりました。目次を含むサンプルPDFをごらん下さい。見て美しく、読んで楽しい、充実した本が出来上がりました。http://www.dgcr.com/books/


 ★ブックフェア★
 「大阪モダン〜博覧会・盛り場の都市文化論

 ■選書:橋爪紳也(都市文化論)■企画:るな工房・窓月書房
 ■期間:2月中旬より3月中旬まで
 ■会場:旭屋書店本店(大阪)4階、紀伊國屋書店本町店、ジュンク堂書店
     天満橋店、それ以外の大阪市内の書店でも展開する予定。


 トークセッション★
 「稲葉振一郎×立岩真也

 ■日時:2006年3月11日(土)13:00より
 ■場所:阪急梅田駅「阪急ターミナルスクエア」17階
 ■共催:紀伊国屋書店梅田本
紀伊國屋書店梅田本店に問い合わせたところ、2月初旬に告知・受付を同店のHPに掲載するとのこと。→ http://www.kinokuniya.co.jp/04f/d03/osaka/udfloor.htm


 ★六甲奨学基金のための第9回古本市
  http://ksyc.jp/furuhonichi.html
 ■日時:2006年3月15日(水)〜5月15日(月)まで
     05年は240万円の売り上げがありました。
 ■場所:(財)神戸学生青年センター 
     〒657-0064 神戸市灘区山田町3-1-1
    TEL:078-851-2760 FAX:078-821-5878
 ●古本市開催のために古本をあつめます。
     2006年3月1日(水)〜3月31日(金)まで
     この期間以外は受付けられません。ご協力ください。
 ●ボランティアを募集しています。
     交通費(片道500円まで)をお支払いします。


■黒猫房主の周辺「<私>とか、映画とか」■
★中原さんの論考を読みながら……垂直性は通時性(伝統/システム/差異性)、水平性は共時性(共同性/情報/同一性)、それがクロスするところに「詞華集」が編纂されるという丸谷才一の指摘、僕はこの「詞華集」的なものが「言葉/文化的身体」の振る舞いだと勝手に思っているが、それが衰弱している(動物化している?)と丸谷は言う。……ということは「私というシステム」の衰弱か?「遍在する私」は「言葉の重層性」とともに立ち現れる事態のように思われるが、そのいっぽうでシステムの外部に過剰に/余剰なそれとして、すでに<ある>と言うほかない<私>もまたあるように思うが、それも言葉の効果か?
十河進さんの『映画がなければ生きていけない』は、まさに映画を観ることが生きることの伴走になっていること(と言っても「艶歌的」ではない)を証明する好著だと思う。僕はメルマガ「日刊デジタルクリエイターズ」連載中からの読者で、何人かにこの連載を紹介しもした十河進さんの隠れたファンであるので、この度上梓されたことを嬉しく思っている。それで僕よりも遙かに映画に想いを凝らす山口さんに書評を依頼したという次第。山口さんじしんが十河さんによくシンクロしている様子は、本文にて明らかだろうと思う。
★僕がいま一度観たい映画として『ル・バル』(エットーレ・スコラ 1983)がある。「ダンスホールにスイッチが入れられ舞踏会(バル)が始まる。シャンソン「待ちましょう」にのって女たちが階段を降りてくる。「ボレロ」にのって男たちが。この展開がすばらしい。以下台詞は一言もなく、なつかしい四十数曲をちりばめて、このダンスホールの戦前からの移り変わりが、回想的な手法で描かれていく」(双葉十三郎のコメントより)。二十年前に僕が東京から大阪に転居してきて、毎週のように梅田の「大毎地下劇場」(名画座)の二本立てを観ていた頃の印象深い作品。VTRは品切で入手不可の模様。どこかで、ぜひDVDで復活して貰いたい。(黒猫房主)