コンビニで古本販売


本日、たまたま旧松坂屋百貨店天満橋店の地下街にあるコンビニ「アンスリー」(京阪電鉄系のCVS)で、再生した古本を「ユース本」(usedだが正しいと思うが)と称して一律価格105円(税込)で文庫を売っているのを目撃した。
いわゆる「新古書業界」としてブックオフやゲオは最大手だが、このようなコンビニで売るというのは新業態であろうか。
がぜん流通ルートに興味が湧いてくるが……一般的にコンビニや駅の売店での雑誌・コミック等の再販商品は、出版取次ルート(トーハン・日販、等)と新聞ルートの即売会(東京即売会・東都春陽堂、等)に二分できるようだ。
即売会ルートでは新聞・週刊誌がメインの取り扱いだが、新刊の文庫やコミックも一部取り扱う。

ところで、以前にも業界紙ブックオフやゲオへの古書の供給源が問われたことがあった。つまり読者からの買取だけでは、あれだけのチェーン店への商品供給は賄えないだろうという疑問だった。
そこで、版元からの不良在庫(返品や旧年度本等)の放出ということが噂された。昔は「ゾッキ本」と言われ、最近は「バーゲン本」と称して、版元の不良在庫や倒産した版元の在庫を専門に買い取ってくれる取次(問屋)が複数存在する。
僕がかつて在職していた東京の版元(直木賞受賞作品も出した版元だったが、2回の倒産を経てその数年後に社長の死と共に解散した)も苦し紛れに、そのような問屋に買い取って貰ったことがある。

ついでながら、その版元は僕が2回目に転職した版元で僕が入社して直ぐに親会社の印刷会社の倒産の煽りを受けて事実上の倒産、その数年後に不渡りでまた倒産。まあ同じ会社で2回も倒産を経験したわけで、いい経験になったというか、出版社というのは簡単にコケる(苦笑)。その2回目の倒産を機に、知人からのスカウトがあって(渡りに船で)草創期の大阪の版元に転職したのだった。そんなことを経て、僕は業界30余年を過ごしているという次第。

閑話休題
最近は新刊書店も積極的に古書販売に力を入れて、読者のニーズに応えようとしている。それは絶版文庫を販売する「ふるほん文庫やさん」と紀伊國屋書店との提携であったり、前橋の喚呼堂を中心とする書店グループが店頭では新刊書と棲み分けしながら古書販売に乗り出したりしている。また、その供給に大手取次も前向きに検討するというような業界紙の記事もあった。
因みに、ずいぶんと前から大阪の天牛堺書店チェーンは店頭で新刊書と古書を併売している(天牛書店は古書のみで、天牛堺書店とは縁戚関係らしい)。
天牛堺書店 http://www.tengyusakai-shoten.co.jp/
天牛書店 http://www.tengyu-syoten.co.jp/

しかし、このコンビへの供給元は従来からあるゾッキ取次とは違うように思う。漠然とした根拠のない推測だが、ブックオフとかゲオへなどへ卸している供給元が絡んでいるように思うのだが……。
そのような某供給元の一つを知人から教えて貰ったことがある。この供給元は、通常なら断裁処分される本を版元から買い取り、図書館、学校、公共施設、スーパー特販、駅ワゴン、ホテル図書室、カフェブックス、新古書店、福祉団体など全国2000箇所に直納で販売している、という話だった。