双風舎の新刊2点売行好調

先週届いた、業界紙新文化」2621号の「週刊ジャンル別ベストセラー」によれば、
三省堂書店神田本店の「社会・人文]で『限界の思考』が2位、デリダの遺言』が3位、同時期に発売されたNHK出版の『マルチチュード 下』が11位(「上」が先に出ないのが面白い。「上」は他店で買った読者が多いのか?)。
八重洲BCが「人文・政治・社会」で『デリダの遺言』が10位。
リブロ池袋本店の「人文」では『限界の思考』が20位で、『マルチチュード 上・下』が17位、しかし「法・経・ビジネス」でも『限界の思考』は10位で健闘している。ビジネスにも置くというのはよいセンスだ!
丸善丸の内本店には初登場はなし。三省堂書店神田本店とリブロ池袋本店は、10/24〜30、八重洲BCが10/23〜10/29、丸善丸の内本店が10/27〜11/02の調査期間。
これらの順位は、それぞれの書店内の相対的順位なので実売数で比較してみると、それらの書店の客層なり売り方の違いが比較できて面白いと思う。

『限界の思考』の関西での実売数でみた場合の書店順位はというと、①紀伊國屋書店梅田店、②ジュンク堂書店難波店、③ジュンク堂書店大阪本店、④ブックファースト京都店、⑤ジュンク堂書店三宮店、⑥ジュンク堂書店京都店、⑦旭屋書店京都、⑧旭屋書店本店の順位で売れているようだ。但し④以下は接戦、⑦と⑧の旭屋書店は他の「直」の書店より取次経由の入荷のため出足が遅れたので、そのぶん不利であったことは否めない。
面白いのは旬の著者の人文書ジュンク堂書店難波店がジュンク堂書店大阪本店よりも初速では売っていることで、これは他の版元の新刊にもおおよそ該当するらしい。因みに、デリダの遺言』は、紀伊國屋書店梅田本店を抜いてジュンク堂書店難波店が1位である。
当初、難波の「あの立地」にジュンク堂書店が出店する際の業界の事前評価では、専門書は売れないだろうということだったが、それを見事に覆したのは「ジュンク神話」の始まりだったのかもしれない。高い天井まで壁面棚を作りそこに移動式の梯子を設置したのは、国内では同店が最初ではなかったかと思う。
その次ぎに、現在の立地に大阪本店を出店する際も事前評価は厳しかったが、これも同店は覆した。この大阪本店のあとに出店したのが、東洋一の売場面積を有するとも言われる池袋本店であり、開店当時のキャッチコピーは「図書館のような本屋」であったことは象徴的で、その後の同店の業界でのスタンスを決定づけたように思う。
★追加記述★関西の書店の順位を更新しましたが、これは書店の優劣を示唆しているものではありません。念のため! 立地および客層を反映した順序です。