第58回『哲学的腹ぺこ塾』

■日  時:05年10月16日(日)午後2時より5時まで。
■テキスト
斎藤純一「政治的責任の二つの位相」、青山治城「戦争と責任」(共に『「戦争責任と「われわれ』所収、ナカニシヤ出版)、ヤスパース『戦争の罪を問う』(平凡社ライブラリー
■参考文献
丸山真男の「戦争責任論の盲点」の要約が下記のサイトで読めます。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~mike/maruyama.htm
宮台真司の戦争責任論 http://www.miyadai.com/index.php?itemid=277
荒井信一『戦争責任論』(岩波現代文庫
高橋哲哉戦後責任論』(講談社学術文庫
仲正昌樹『日本とドイツ 二つの戦後思想』(光文社新書
■参考資料
鶴見俊輔「戦争責任の問題」(『鶴見俊輔集9 方法としてのアナキズム』 p168〜p172、筑摩書房
竹内好「戦争責任について」(『日本とアジア』p230〜237、ちくま文庫
高橋哲哉の発言(『グローバリゼーションと戦争責任』岩波ブックレット
ベルサイユ条約戦争責任条項
■報 告 者:黒猫房主
 加害責任(罪)のない戦後世代が、なぜ戦争責任/戦後責任を、何故/如何に引き受けるか(その応答可能性/不可能性)という論点で考るために、ヤスパース『戦争の罪を問う』をベースに、メインは斎藤純一「政治責任の二つの位相」論の現在的意義を検討したいと思います。
 斎藤の論点の特徴は責任主体の<受動性>と<能動性>ですが、ポスト・コロニアルの視線から「国民国家」批判、戦後の知識人による能動的責任論として丸山真男加藤典洋の立場が批判されていますので、資料として用意した鶴見俊輔竹内好(間接的に丸山真男)の戦争責任論も適宜参照します。
 時間があれば青山治城「戦争と責任」を、青山は「戦争」と「責任」を切り離して個別の問題をクリアーにしています。さらに時間があれば、岡野八代の「わたしの自由とわれわれの責任」(『「戦争責任と「われわれ』所収、ナカニシヤ出版)を検討します。岡野の論考は自分の体験をとおして「戦争責任問題」における、ある種の<こわばり>の解体を企図しています。
参考文献の内、荒井信一『戦争責任論』は第一次世界戦争後にはじめて「戦争責任」という概念が現れ、今日までのその変遷の通史です。仲正昌樹『日本とドイツ 二つの戦後思想』の第一章は、手っ取り早く「戦争責任」の概略を知りたい人には便利で、ヤスパースにおける「罪と責任」の区別が簡便に説明されています。また参考資料としての、高橋哲哉の発言は加藤典洋との異同/類似がポイントです。
★レジュメは下記のサイトでご覧いただけます。
http://homepage3.nifty.com/luna-sy/harapekore58.html
★併せて、「カルチャー・レヴュー」52号掲載の「責任論の位相」もご覧ください。
http://kujronekob.exblog.jp/1432704/