「100年史記念シンポ」を聴く

さてお二人の対談(詩人の金時鐘さんと姜尚中・東大教授)を簡単に紹介する。
姜さんは先の6者協議合意の画期性に触れ、この合意の実現によって朝鮮半島は戦争の危機から解放され、段階的には「南北国家連合」を経て(しかしそれは南北の「分断された民族主義」が「統一されたナショナリズム」に回帰するのではなく)、家長のいない開かれた対等な関係の「東北アジア共同体の家」の実現に繋がると年来の希望を語った。そして、小泉首相が来年の9月任期切れまでに再来朝して国交回復をするだろうとも予言した。また在日の未来については、「日本か南か北かにとらわれず、東北アジアという広域の場に自由に船出をして、生きていける時代になる」と展望を語り、私たちが歴史を知る(学ぶ)ことによって、より「自由」になれると締めくくった言葉が印象深い。
いっぽうの金さんは、氏の「在日を生きる」という思想的境地を得てから今日まで、「在日は(南北)の対立があっても同じ場所で暮らしてきた。在日こそ先に統一できる存在」とその確信を語り、最後に詩を朗読した(雑誌「環」の巻頭詩として掲載されるとのこと)。金さんの「日本語」との向かい合いや、長編詩「新潟」への言及などもあったが時間切れとなった。(★「東アジア共同体東北アジア共同の家」構想については、和田春樹氏の下記のサイトをご覧ください。http://www.wadaharuki.com/newpaper.html

同シンポのことは昨日の関テレの夕方のニュースでもちょっとだけ報道され、本日の朝日新聞大阪市内面)でも写真入りで簡潔に紹介されている。おそらくそのうちに関テレの深夜のドキュメンタリー番組でも放映されるのではないかな? あるスタッフに聞くと、シンポの内容は本とDVDとして記録されるとのこと。聴衆は300余人。在日の人々が9割で、残りの1割が僕を含めた「在日日本人」といったところだろうか。
★追記 日曜日の「サンデープロジェクト」を観ていると、6者協議合意の実現が容易でないことを元毎日新聞出身の大学教授がシニカルに述べていた。シニカルに語ることは「知的」ではない。僕も「容易」ではないと思うが、対談で姜さんは10年前に「EU」を予想した人はいなかったと語ったことを再確認しておきたい。だからこそ「理想と希望」は失ってはならないのだと思う。