国際公開シンポジウム 人間改造のエシックス ブレインマシンインターフェースの未来
僕は、『脳のなかの倫理−脳倫理学序説』(紀伊國屋書店)と脳-意識論の教養書を数冊読んでいる程度ですが、参加申し込みしました。
しかし脳科学の進展によって脳の機能に基づく思考や好みの癖/傾向性が、いくら精緻に解明されようとも、それが哲学や倫理の核心を基礎づけることになるだろうか。
また科学哲学にしろ批判的合理主義にしろ、ある領域での「真偽の判断」とは別に、何を/に、誰と「合意」するのか/しないのかというその前提に向かい合う「態度」について、科学は決定できないのではないだろうか。
またその「何」や「誰か」というのも一義的には決定できない、ということを科学哲学は逆説的に示唆しているようにも思われるのだが……。
参照:森岡正博さんによる『脳のなかの倫理−脳倫理学序説』の書評→http://d.hatena.ne.jp/kanjinai/20070328/1175018196
一般参加は、まだ受付中ですよ。↓
国際公開シンポジウム
人間改造のエシックス
ブレインマシンインターフェースの未来広告(http://www.arsvi.com/2000/080114.pdf)
開催場所 京都大学百周年記念ホール
日時 2008年 1月 14日(月、祝)
午前 10: 00 〜午後 6:00主催:「意識の先端的脳科学がもたらす倫理的・社会的・宗教的影響の調査研究」研究班
(研究代表者:福山秀直(京都大学)、文部科学省・科学技術振興調整費)
共催:「脳を活かす」研究会
後援:特定領域研究「脳機能の統合的研究」
グローバルCOEプログラム・「生存学」創成拠点(立命館大学)開会の辞 福山 秀直 (京都大学)
午前の部(10:00−12:00)(同時通訳あり)
基調講演 “Neuroethics: Principles and Dilemmas”
(「ニューロエシックス:その原理とジレンマ」)
ジェイムズ・チルドレス 氏(James F. Childress, University of Virginia)特別講演 “Brain-machine interfaces: past, present and future”
(「ブレインマシンインターフェース:過去・現在・未来」)
ミハイル・レベデフ 氏(Mikhail A. Lebedev, Duke University)午後の部(1:30−6:00) シンポジウム(日本語での講演と総合討論)
「日本における脳科学研究と脳神経倫理」
伊佐 正 氏(神経科学、自然科学研究機構生理学研究所)
「脳科学に規制は必要か」
村岡 潔 氏(医学概論・医療思想史、佛教大学)
「エンハンスメントの哲学」
金森 修 氏(科学哲学、東京大学)
「ALSの隠喩、TLS(Totally Locked-in State)を概観する:重篤なコミュニケーション障害をもつ人の在宅介護の体験から」
川口 有美子 氏(NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会、日本ALS協会)指定発言 (苧阪直行氏(京都大学)、高木美也子氏(日本大学)、信原幸弘氏(東京大学)、
菱山豊氏(文部科学省研究振興局ライフサイエンス課))参加費:無料(インターネットによる事前登録制)
ホームページ http://hbrc.kuhp.kyoto-u.ac.jp/nourinri/IS_neuroethics.html開催趣旨
神経科学は近年に急速な進歩を見せ、これまでになかった技術革新を可能としつつある。たとえば、人間が考えていることを脳スキャンによって探知する技術や、電磁気による脳刺激やニューロフィードバックによるトレーニングで脳機能を強化する手法(エンハンスメント)や、コンピュータを利用して考えるだけで操作できる機器などの開発と実用化が目前ともいわれる。それだけではなく、強力でしかも副作用の少ない向精神薬の研究開発も進められ、容易に感情を変化させたり、認知能力を高めたりすることも可能となりつつあるという。
そうした状況の下では、インフォームドコンセントによる被験者保護という従来のバイオエシックスの考え方だけでは、取り扱うことが困難な新たな問題群が神経科学をめぐって生じつつある。もし、エンハンスメントの利用が野放しとなり、裕福で権力を持ったエリートだけが努力無しに知的能力を強化できるようになれば、格差社会における分裂が修復不可能なまでに拡がってしまいかねない。そんな人間改造による『すばらしい新世界』を、誰が望んでいるというのだろうか。
ニューロエシックス(脳神経倫理)は、こんにちの神経科学がもたらすかもしれない倫理的・法的・社会的な諸問題を正面から扱おうとしている新生の学問領域だ。さらには、倫理という現象を神経科学によって解明することで、神経―哲学や神経―神学すなわち、哲学や神学の客観的基礎付けなども将来的には可能となるかも知れないとまで主張する人びともいる。進歩しつつある科学の未来を確実に予測することなど不可能だが、少なくとも、心―脳問題に客観的科学によってアプローチしようとするとき、人間性に関わる諸問題、たとえばプライバシー、道徳性、主体性、人格、責任などに関連した微妙なことがらを無視できなくなるだろう。
この公開シンポジウムでは、ニューロエシックスの「新しい」問題とされていることがらを、バイオエシックスにおいて蓄積されてきた議論の文脈のなかに置き直し、二つの連続性と差異について考察する。同時に、ブレインマシンインターフェースの最近の進歩を一つの事例として、人間改造の可能性と危険性について、神経科学、哲学、倫理学、社会学、「生存学」などの複数の視点から学際的に考究する。
- 作者: マイケル・S.ガザニガ,Michael S. Gazzaniga,梶山あゆみ
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2006/02/01
- メディア: 単行本
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