「カルチャー・レヴュー」59号

本文は、http://kujronekob.exblog.jp/ にてお読みいただけます。

■目 次■
◆連載「映画館の日々」番外編:長い髪の少女あるいは同一化の欲望――やまじえびねレズビアン・コミックについて---------------------鈴木 薫
◆連載「文学のはざま2」第5回:『日本文学盛衰史』『ミヤザワケンジ・グレイテストヒッツ』ほか高橋源一郎の最近の小説はいかが?(2)------村田 豪
◆INFORMATION:トークセッション「希望の国家論」(立岩真也×稲葉振一郎)/「職場の人権」第78回研究会(報告:本田由紀)/composition―建築する音―/「哲学的腹ぺこ塾」61回
◆黒猫房主の周辺「いいかげんな春よ、来い!」---------黒猫房主

★本誌はメルマガ版ですが、他にバックナンバーとしてWeb版があります。
 http://homepage3.nifty.com/luna-sy/review.html
★それぞれの論考ごとにコメントや感想が書き込めますので、よろしくお願いします。
★本誌への投稿も募集しております。
  E-mailル:「YIJ00302」を「@nifty.com」の前に付けてください。
★60号は、06.04.01の刊行予定です。

●●●●INFORMATION●●●
トークセッション★
希望の国家論」(立岩真也×稲葉振一郎

 ■日時:2006年3月11日(土)13:00より
 ■場所:阪急梅田駅「阪急ターミナルスクエア」17階
 ■共催:紀伊国屋書店梅田本
 ■申込みは、同店まで(電話予約可:TEL.06-6372-5821)
  http://www.kinokuniya.co.jp/04f/d03/osaka/01event.htm
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★「職場の人権」第78回研究会★
  http://homepage2.nifty.com/jinken
 「社会変化のなかの教育・仕事・家族――若年層と女性のライフコース問題について」

 ■日時:2006年3月18日(土曜)午後1時開場、1時30分〜4時30分
 ■場所:ドーンセンター(大阪府立女性総合センター)5階 特別会議室
  TEL:06−6910−8500
     http://www.dawncenter.or.jp/shisetsu/map.html
 ■参加費:500円(当会の会員は参加費無料)
 ■報告者:本田由紀東京大学助教授、教育社会学
       本田由紀さんのブログ「もじれの日々」http://d.hatena.ne.jp/yukihonda/
 ■コメンテーター:熊沢誠甲南大学教授、社会政策・労使関係論/研究会「職場の人権」代表)

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★composition ―建築する音―
 サウンド・アーティスト 藤本由紀夫 × 建築家

 ■日時:3月10日(金)〜3月19日(日)11:00-19:00
 ■会場:アートコート ギャラリー
     大阪市北区天満橋1-8-5 OAPアートコート1F
 ■登場者:藤本由紀夫(サウンド・アーティスト)、東井嘉信(大林組)、
      井上琢也(石本建築事務所)、荒木洋(AN Architects)、長澤浩二(AN Architects)
 ■主催:アートコート ギャラリー
 ■トーク:3月19日(日)14:00−16:00
  http://www.artcourtgallery.com/page.html
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★第61回「哲学的腹ぺこ塾」★
 http://homepage3.nifty.com/luna-sy/harapeko.html
 ■日  時:06年03月05日(日)午後2時より4時まで。その後、新年会。
 ■テキスト:加地伸行儒教とは何か』(中公新書
 ■会  場:るな工房/黒猫房/窓月書房
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■黒猫房主の周辺「いいかげんな春よ、来い!」■
★世間の景気は上向きとか思えばライフドア・ショックもあってか、景気上昇は緩慢との修正予測もあったりで、どのみち必需品ではないかもしれない本の売上は厳しいですね。まあそんな時こそ、思想の強度が試されるわけですが。
★鈴木さんは論考の結語として「美しい書物は破り捨てよ。やまじえびねには規範を超えてほしい」と書いているが、規範の逸脱は、あらたな規範を再帰的に呼び込む、あるいは脱構築する。だからそれは、遅延してやってくる不可能性の経験とも言えるが、だからこそそれは目指されるべきだとしたら……それは<欲動>ではなく「欲望」を模倣しているのかも、知れない?
Amazonの読者コメント(「インディゴ・ブルー」) で、<「男と付き合おうと思えばわたしはちゃんと付き合える その事実がわたしを安心させる」この言葉には恥ずかしながらかなり共感できました>とあった。この引用の台詞だけで判断すると、やすやすとヘテロ規範に回収されてしまっているように思われるが(僕の誤読か?)、これは鈴木さんが示唆する「女同士の快楽を信じられない女」の絶望の裏返しとして、照応しているようにも思いました。
★村田氏の論考を読みながら、漱石の立ち位置と高橋源一郎の立ち位置もある部分ではクロスしているのかもしれないと思ったり、そう言えば源一郎も連載中に「原宿の大患」で吐血したのでした。でも源一郎は柄谷にすり寄ったり、さいきんは加藤典洋にも近いようだったりと競馬予想をしながら、いい意味でも/悪い意味でも「いいかげん」にかつ政治的にも振る舞っているような気もしています。いぜん源一郎が大江健三郎をして「最大の顰蹙作家」と評し「小説の神髄」を語る部分(朝日新聞の書評)は、まさしく源一郎じしんの文学観なわけでしょう、と書いた黒猫房主のブログでの指摘も、あんがい的を射ているのかもしれないと思ったのでした。http://d.hatena.ne.jp/kuronekobousyu/20051109
★それから僕は『日本文学盛衰史』は未読なのですが、関川夏央の『坊ちゃんの時代』全5巻(双葉社)と読み比べると面白いと思いますよ、と村田氏に感想メールしたら、源一郎じしんがその漫画に触発されて『日本文学盛衰史』を執筆したそうなので(村田氏じしん周到にも『坊ちゃんの時代』にも目を通したそうで、脱帽)、まあ僕の読みもまんざらではないかなあと安堵。しかして、その『坊ちゃんの時代』の第4巻で、関川は「いわゆる「大逆事件」とその背景」という一文で、漱石が文部省からの博士号を拒否したことを、啄木との関連で示唆しています。(黒猫房主)